モルモン教会の考察
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復元教会の日本での正式名称は「復元イエスキリスト教会」です。本部のあるアメリカでの現在の正式名称は Communite of Chirst。(以前は、Reorganaized Curch of Jesus Chirst of Latter-day Saints であり、RLDS と略されていました)復元教会を重点的に取り上げているのは、末日聖徒イエス・キリスト教会から分派した組織では最大規模(会員数25万人)であること、私が復元教会の何人かの牧師とEメールなどで交流を持っており実情を確認しやすいこと、末日聖徒イエス・キリスト教会の中でもその名はよく知られており存在を無視できない状態にあることなどが理由です。

モルモン教会(末日聖徒イエス・キリスト教会)と復元教会の教義などを容易に比較できるように表にしてみました。モルモンに関心のある方にとって興味深いものだと思います。

お断わりしておきたいのですが、復元教会にはきちんとした神学は存在しますが、会員個人個人の信仰の自由を非常に尊重しており、教会の教えている内容と違うことを主張しても会員としての立場を失うわけではありません。このため復元教会の教義については多くの一般会員が信じていることとではありますが、別の考えを持っている会員の方もおられると思います。



教義や信条の比較表

 

末日聖徒イエス・キリスト教会

モルモン教会:LDS)

復元イエスキリスト教会

 (Comunity of Christ)

三位一体ではない。父なる神、イエス・キリスト、聖霊は別々の存在であるが、共通の目的を持ち、神会という組織を構成している。 三位一体を信じる。
聖書 正確に翻訳されている限り神のみ言葉と信じる。
英語ではKingJamesVersion(欽定訳)、日本語では日本聖書協会の口語訳を使用している。
ジョセフ・スミスの霊感訳聖書を使用している。欽定訳をベースにジョセフが霊感をうけた言葉で書きなおしている。「雅歌」が無いのが特徴。
モルモン書 神の言葉と信じている。金版からの翻訳と信じている。現代英語への再翻訳には否定的態度である。 聖典として使用されている。金版からの翻訳かジョセフの創作かについてはどちらを信じても良い。教会の初期から使用されているAuthorized Versionと、現代英語で書きなおしたRevised Authorized Versionも出版している。
教義と聖約 ジョセフ・スミスの死後、ほとんど追加されていない。 ジョセフ・スミスの死後、40章以上が追加されている。
高価な真珠 モーセ書、アブラハム書などを聖典として使用している。 高価な真珠は聖典ではない。
知恵の言葉 酒、タバコ、コーヒー、紅茶を摂取しないことは厳格に守るべき戒め。 戒めではない。ただし聖職者に任命された人は酒、タバコは止めるように求められる。
献金、什分の一 全収入に対する10パーセントを献金として収める。集まった献金に対する収支報告はなされない。 収入の増加分(全収入から生活に必要な分を除いた残り)に対する10パーセントを献金として収める。集められた献金は外部の公認会計士により監査を受け、収支報告を公表している。
死者の救い キリストについて学ぶ機会がなく死んだ人は、死後の世界でキリストについて学ぶ機会がある。ただし彼らが救われるためには儀式が必要であるので、神殿を建設し、死者の身代わりの儀式を執行する。 キリストについて学ぶ機会がなく死んだ人は、死後の世界でキリストについて学ぶことができ、そこで信仰を持てば救われると信じる。死者の身代わりの儀式はない。
神権 神の有する力と権能が人間に与えられたもの。儀式を執り行い、教会を管理運営するのは神権を持つものだけが行える。個人が救われるために男性は神権を保持することが必要。女性は神権を持つ男性との結婚することが必要。現在は規定の年齢に達したふさわしいと教会で認められた男性全てが神権を受けられるが、1978年までは黒人には神権が与えられなかった。 救われるために個人個人が神権を保持する必要はない。神権を受けた人は儀式を行う、教会を管理する、伝道するなどの責任が与えられる。神権は教会内での出世と考えないように教えている。神権を受けることよりも自分の置かれた環境でキリストの教えを実践することがより大切である。黒人への神権を拒んだことは無い。1984年、女性にも神権が与えられるようになった。
現代の預言者 神から召された人。教会全体に関する啓示を受ける。
預言者の語る言葉はいかなる時でも尊重し、優先することが信仰を表すことであると信じられている。
預言者が誤りを犯す可能性は認めているが、それでも預言者に従うことは信仰を示すことであり、そうしていれば神はもっとも良いように取り計らって下さると信じられている。逆にいえば預言者、指導者への反対はタブーとなっている。
神から召された人。教会全体に関する啓示を受ける。
預言者の受けた啓示を認めるかどうかは総大会で検討され賛成多数の場合、啓示として教義と聖約に追加される。
預言者は一人の人間であり、その職を受けることは無誤謬になるということではない。
預言者の交代 預言者が死亡した場合、十二使徒の中の先任者が後継者となる。 預言者は後継者を直接指名する。これまではスミス家の世襲制度であったが、現在の預言者グラント・マクマリーは前任者ウォラス・B・スミスの存命中に任命され、スミスは引退するという形をとった。
結婚 神殿で結婚(結び固めの儀式)を行うことが救いに不可欠。神殿結婚した夫婦はその子供と共に家族として永遠に暮せると信じている。 神殿結婚のような教義や儀式はない。
多妻結婚 1800年代に行われていた。1890年に「公式の宣言」が発表され、現在は廃止。 多妻結婚は当初より否定。ジョセフ・スミスは多妻結婚を行っておらず、ブリガム・ヤングが導入したと信じている人も多い。ただし、ジョセフが多妻結婚を行ったのが事実ならば、それは間違った行為であったと考えている。
総大会 1年に2回開かれる。話し合いではなく幹部の説教を聞くことが目的。大会の様子はTV中継、出版物、ビデオテープなどの手段で各地の会員に届くように配慮されている。 2年に1回開かれる。教会の方針を決定する会議。各地から会員100名に1人の割合で代表者を参加させ、教会に対する意見を自由に表現する機会が与えられている。
同性愛 重大な罪であり、信仰と悔い改めをとおして克服できると教えている。 教会としての態度をどうするべきかは検討されている。牧師、会員のレベルでは同性愛者を受け入れる人もいれば、否定する人もいる。
聖餐 パンと水。祝福の祈りの言葉は決められている。 パンとぶどう液。祝福の祈りの言葉は決められている。
礼拝の服装 男性はネクタイとスーツ。女性は落ち着いた感じのドレスを着用するように指導される。 服装は自由。
指導者の給与 幹部は教会から収入(金額は非公開)を受け取り、フルタイムで教会の役職に携わる。各地の指導者は本業を持つ傍ら、奉仕活動で教会の責任を務める。 教会から任命されて役職に携わる人はアポインティと呼ばれ教会の務めをフルタイムで行っており、教会から給与(金額は公開されている)を受け取る。各地の牧師は本業を持つ傍ら、奉仕活動で教会の責任を務める。
専任宣教師 男性は19才になると専任宣教師として2年間のフルタイム伝道活動に従事するように求められる。女性は21才から1年半従事するが強く求められることはない。 専任宣教師として働くのは教会から任命を受けたアポインティと呼ばれる人々で、一般会員が宣教師になる制度は無い。
唯一真の教会 教義として存在し、そのように主張する幹部、教会員がほとんどであり、信仰のよりどころとなっている。 1960年代までそのような立場をとっていたが、現在では一部の会員を除いてまったく口にされなくなった。他の宗教も尊重しエキュメニカルな活動を行っている。
啓示 過去も現在も将来も神が啓示を与えられることを信じている。 過去も現在も将来も神が啓示を与えられることを信じている。
教会内における会員の自由意思 会員には教会の教えや指示に従うか拒むかは個人の自由である。ただし教会(またはその指導者)からの指示は神の意思であり、その教えは唯一まことであるため、拒むことは祝福を失うと信じられている。一方で従順は信仰を示すことであると教えているため、教会の教えや指示に反対意見を表明することは困難である。 教会としてのきちんとした神学は存在するが、個人個人がどのように神を理解し神との関係を深めていくかは自由であるため教会の一般的な考えと異なる意見を持つことも表明することも全く自由である。また教会の方針に対する反対は総大会などで表明する機会がある。
バプテスマ 救いのために必要。子供は8歳になると受けられる。他の教会のバプテスマを認めない。(逆に他の伝統的クリスチャンの教会もモルモン教会のバプテスマを認めていない) 救いのために必要。子供は8歳になると受けられる。他の教会のバプテスマを認めるかどうかは検討されている。(認めるという牧師もいる)
神殿 地上で最も神聖な場所。教会の教えに忠実な会員しか入れない。永遠の結婚、エンダウメントなどのモルモン独特の儀式を行う他、死者の身代わりの儀式を行う。 誰でも(復元教会員以外でも)入れる。平和の追求のために建設された。神を礼拝し、訓練や指導を受ける場所。



モルモン書の各書の章数比較表
復元教会の使用しているモルモン書は、各書ごとの章分割がモルモン教会のものと異なっています。ここに対応表を載せました。
日本語のモルモン書は1970年ごろ、復元教会の日本人牧師たち4名により翻訳、出版されたそうですが、いろいろな事情により
現在は残っていないそうです。

  モルモン教会
(LDS)版の章数
復元教会(Comunity
of Christ)版の章数
ニーファイ第1 22 7
ニーファイ第2 33 15
ヤコブ 7 5
エノス 1 1
ジェロム 1 1
オムナイ 1 1
モルモンの言葉 1 1
モーサヤ 29 13
アルマ 63 30
ヒラマン 16 5
ニーファイ第3 30 14
ニーファイ第4 1 1
モルモン 9 4
エテル 15 6
モロナイ 10 10



教義と聖約の対応表
教義と聖約はモルモン教会にあって復元教会にない部分、またその逆の部分があります。
モルモン教会版の章と復元教会版の章の対応表は以下のようになります。

モルモン教会
(LDS)
復元教会
(Comunity of
Christ)
説明
1 1  
2 - モロナイの言葉
3 2  
4-9 4-9  
10 3  
11-12 10-11  
13 - バプテスマのヨハネの言葉
14-18 12-16  
19 18  
20 17  
21-23 19-21  
- 22 「高価な真珠」に関連する内容
24-36 23-35  
- 36 「高価な真珠」に関連する内容
37-76 37-76  
77 - ヨハネの黙示録に関する注解
78-84 77-83  
85 - シオンのゆずりに関する章
86 84  
87 - 南北戦争の予言
88-107 85-104  
108-111 - カートランド神殿の奉献、エライジャ訪れなど
112 105  
113-118 - 教会の名称など
119 106  
120-123 - リバティーの牢獄内でジョセフの書いた手紙など
124 107  
125-126 - ノーブー市に関する啓示
127-128 109-110  
129-132 - 神の身体、永遠の結婚誓約など
133 108  
- 111 1835年、教会に採択された結婚に関する章
134-135 112-113  
136-138 - ジョセフの死後、モルモン教会の預言者の啓示
- 114-160 ジョセフ・スミス三世とそれ以降の復元教会の預言者の啓示


一般にはモルモン教会は非常に特異で異端とされていますが、復元教会はモルモンよりプロテスタント教会に近いと評価されているようです。どちらも同じように、ジョセフ・スミスを設立の預言者とし、モルモン書を聖典とし、教義と聖約のような現代の啓示を信じているにも関わらず、モルモン教会と復元教会はその信仰スタイルが大きく異なります。それはなぜなのかを見つめ、よく考えることはモルモン教会員にとって意味のあることではないでしょうか?

ジョセフ・スミスを原点とする教会はこの2つ以外にも驚くほど数多くあります。それぞれが主張を持ち、それには根拠が伴っています。はっきりしている事実は、ジョセフ・スミスとモルモン書を信じていることと、モルモン教会(末日聖徒イエス・キリスト教会)に所属することはイコールではないということです。またモルモン書の解釈もモルモン教会が教えている以外に様々に行えるものだということです。

モルモン教会では教会員に対する学習プログラムは充実していると思います。しかしそれは教会側からの一方的な見解しか教えておらず、教会員個人が自らの知恵と自由意思と神への信仰により、より良心的に自由に聖典(聖書やモルモン書)を解釈することを妨げています。このような状態が解消され、教会員が真の信仰を育み、神と個人との関係を見出せるようになることを願ってやみません。


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