モルモン教会の考察
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 モルモン教会の会員が、何らかの理由により教会の会員であることをやめたいと思うとき、教会の反応はどうでしょうか?脱会経験者の中に円満に脱会できなかったという人が多くいます。ある人は「教会を離れると救われないのだよと言われた」と言っています。またある人は「脱会を希望しているのに破門させれた」と言っています。「脱会を希望し書面で意思表示しているのに何年も受理されていない」という人もいます。また脱会を考えている人の中には「脱会したいなどと言い出せば、監督や指導者たちからあれこれとしつこく説教されたり、嫌がらせを受けるんじゃないか」という不安を感じている人もいます。私の身近な友人に、過去の歴史を隠していることを知って教会が嫌になり、脱会した人がいます。彼の家にはステーク会長が来て長時間話をし、脱会のことは一般会員には内緒にしておいてくれと言われた(そのため今でも一部の人は、彼が教義に何か疑問があってお休み会員になったと思っている)そうですが、インターネット上で知った上記ケースから比べれば、円満に脱会できたほうではないかと思います。スムーズに脱会できたケースも聞いておりますが、スムーズに脱会できるのが当然であり普通です。そうではない状況が少しでもあるということが問題なのです。

なぜモルモン教会をやめる人々がいるのでしょうか?教会に来ることをやめる人には2種あります。一種はお休み会員、もう一種は脱会者です。お休み会員というのは、日曜日の定例集会などには出席しないが教会の名簿上に名前が残っている人々です。そのため時折、教会員や宣教師が自宅に訪問してくることがあります。日本では登録会員のうち約80パーセントがお休み会員と言われています。私の経験からいうと、求道者(教会に関心を持ち宣教師から学んでいる人)が充分な理解のできていない状態のまま、バプテスマを施して入信させるという方針をモルモン教会がとっているため、お休み会員ばかりが増えています。教会に対する理解や信仰も育まないまま形だけ入信させるということは、モルモン書の教えから考えても誤った行為です。

積極的に脱会の意思表示をする人の多くは、モルモン教会が間違った宗教だと判断したことが理由です。単に教会に行くのが嫌になったとか、教えていることが理解できないといったことが理由であれば、教会から足が遠のいた状態、お休み会員になるでしょう。そうではなく、あえて名簿からも自分の名前を削除して欲しいと望んでおられるのです。このような人たちに関して、モルモン教会の対応が非常に悪いということで前述のような指摘があります。

脱会に関して多くのモルモン教会員が持つのは、「その人はもう救われないのでは?」という気持ちであろうと思います。これはモルモン教会員が持っている、教会は唯一まことの神の教会であり、生ける預言者により直接の導きを受け、過去に何の間違いも犯さなかったという強い確信からきています。しかしモルモン教会が神の教会であったとしても、そこを離れたために救われなくなるという考え方は成立しません。というのは、救いとは、救い主イエス・キリストにより神と個人がつなぎあわされることで成立するもので、教会はその手助けにはなりえますが、救いそのものを与えることはできないからです。また多くの人が指摘するようにモルモン教会は過去に幾多の過ちを犯しています。その現状を知って嫌気がさして離れていった人を誰が責めることができるでしょうか。

モルモン教会員が脱会希望者やお休み会員に働きかけるのは、教会に戻って来なさいということだけです。しかし教会は救い主そのものではありません。教会に来る来ないより、その人がイエス・キリストにつながっているかどうかが、より大切だと思われます。そしてそのつながり方にはモルモン教会が教える方法だけではなく、さまざまなつながり方があるのです。いったんモルモン教会との関係を断ち切りたいと考えている人に、思いとどまるように説得する教会員の働きかけは、善意から出るものか、ただ指導者に命じられたから義務的にしているものかによらず、時として精神的苦痛を与えることがあります。しつこい説得は相手を傷つけ、教会の評判をますます落とす以外に何の効果もありません。そもそも、もし自分の教会に絶対の自信を持っているならば、「一度別の観点からこの教会を見直したり、ほかの教会や宗教について学んでみるのもいいね。その上で、やっぱり戻ってきたかったらいつでも戻っていらっしゃい」ということができるはずです。

 脱会に関するモルモン教会の公式な見解はどのようなものでしょうか?教会の地元の指導者が使っている「教会指導総合手引き」から、脱会に関する文章を掲載します。ただし私の手元にあるものは少し古く、初版発行が1989年、第2版発行が1991年のものであるため、現在ではステーク会長と呼ばれる役職名がステーキ部長になっていたりしますが、大まかな内容は同じであろうと思われます。
 教会の記録からの登録抹消

成人会員が教会の会員記録から自分の登録を抹消することを希望する場合は、文書による抹消請求(書式は決まっていない)を監督に提出しなければならない。また、教会の代表者による訪問を拒否する請求だけでは、登録抹消の十分な理由にはならない。

監督は登録抹消を希望する教会員に対して、抹消によってバプテスマの効力がなくなり、また男性ならば神権も取り消され、神殿の結び固めと祝福も差し止められることを十分に理解させなければならない。当事者である教会員が以上のことを十分に理解し、しかも翻意の余地がないと監督が感じたならば、「管理事項報告書」(PMCL3236JA)に監督の意向を記入したうえで、抹消を請求する文書とともにステーキ部長に提出する。

ステーキ部長会は、提出された書類を検討して承認した後、請求どおり教会の記録から登録が抹消されたことを通告する手紙を監督から本人に送らせる。その手紙には、ステーキ部長が30日以内に処分の撤回を求める本人からの書面を受け取れば、登録抹消は撤回できる旨を明記しなければならない。30日以内に撤回の要請がない場合、ステーキ部長は必要事項を完記した「管理事項報告書」ならびに関係文書を大管長会事務局に送付する。

登録抹消の請求者が地元の法律に照らして未成年である場合、手続きは成人教会員の場合と同じであるが、ただ文書による登録抹消請求に本人ならびに親(片親でもよい)もしくは法律上の保護者の署名が必要である。

一家族の中で2名以上の者が登録抹消を請求する場合、文書による請求は1通でよい。

状況によっては、監督または支部長がある特定の教会員の登録が抹消されたことを発表する必要があるであろう。(P.10-9「処分の発表」の第7項を参照)

監督またはステーキ部長が登録抹消を請求している教会員に対して宗紀評議会への召還を考慮している場合、宗紀規定が適用されるかもしくは権能を有する管理者が宗紀評議会の開催を不必要と決定するまで、登録抹消の請求は保留にしておく。登録の抹消をもって破門や正会員資格の剥奪に代えてはならない。

登録を抹消された教会員は、本質的には破門された場合と同様の手続きをもって教会への再加入が認められる。(P.10-11「保護観察、破門の解除」,p10-12「祝福の回復」参照)ただし、登録を抹消された者の再加入について宗紀評議会が開かれることはない。

「教会指導総合手引き」より

 モルモン教会からの脱会に関して上記のような手続きが存在してはいるのですが、その方法は指導者が用いる手引き類の中にしか書かれていません。したがって一般会員が脱会を希望する場合、その手続きは指導者に(執拗に翻意を説得されることを覚悟の上で)説明してもらわねばならず、円満な脱会ができない理由になっています。脱会希望者の方には元モルモン教会監督が脱会届の具体的な書き方をアドバイスしていますので、参考になるでしょう。
聖徒の未知、モルモン教会を脱会する方法


北海道のある教会員の男性が、東京にあるモルモン教会の管理本部に脱会に関する問い合わせをされたそうです。この方はその後、警察、法務局にも相談をされています。その内容は大変参考になるものですので、ご本人の承諾を得て掲載します。

 実は僕、脱会届を出すのにいまだに抵抗感があるんですよ。しつこく教会へ戻ってくるように手紙や電話や来訪があるんじゃないかとか。多分あるんでしょうけど。 それよりも脱会届を監督会がどう扱うかも問題ですし。



広尾の管理本部へ電話をかけて確認したところ、
脱会届を出すと確認のはがきがあなたの自宅へ郵送されます。それをそのままにしておくと、脱会の手続きが始まります。ワードと本人、ワードと管理本部でそれ らの手続きを行うので、完全に脱会が終了するまでには1、2ヶ月ほど要します」とのこと。

僕の「過去の事例では監督会やステーク会長の面接を行わないと、脱会届を受理しないというようなこともあったそうですが?」との質問には、
脱会の手続きには面接を要しません。もしそのような要請があっても断って結構です」という返答でした。

ちなみに「監督会やステーク会長会がどうしても面接を行う、そうでないと脱会手続きを行わないと言って来たら、管理本部は何らかの働きかけをしてくれるのです か?」との問いには、
その時は改めてお電話ください。こちらから監督へ連絡をとりますので。また、それ以外のことでもご不明な点があれば、ご遠慮なくこちらへご連絡ください」と 言う返事でした。

管理本部自体の答えは以上のようなものでした。でもねぇ、教会から離れるものを黙って放っておいてくれる教会員でもなさそうですし。前述の「もししつこく電話 をかけてきたら、手紙が来たら、来訪があったら」の不安は残ります。



そこで警察へ電話をかけてみて、迷惑防止条例などで対応できないか聞いてみました。
答えとして「できない」ということ。警察が動くとすれば「あなたが暴力を受 けたとき」だそうで。それでも大声で怒鳴って威圧するなどの行為があったならば、暴力を受けなくても動ける場合もあるとか。宗教へ戻そうとする行為は「勧誘」 の部類に入り、基本的にシロとして扱われるそうです。

僕としては「これがオウムみたいな宗教で、誘拐されて殺されたらどうするんだ!」とも思いましたが、警察官は飽くまで法の執行者なので現行法ではそれらが精一 杯なようです。

あと実際にしつこい勧誘が始まって不安を感じるようなら、近くの交番に相談してみてくださいと、アドバイスを受けました。時間は限られますが、 パトロールするときに重点的に見ていただけるそうです。



また、法務局の人権擁護課にも話を聞いてみました。
モルモンがどう言う教会なのかを説明し、過去に脱会した人はどうだったか、などをお話しました。 法務局からのアドバイスとしては以下のようなものでした。 「お話を聞いたところによると、過去に脱会した人もいるようだし、その人達は勧誘に負けなかったみたいですね。多分あなたが不安に感じるのは、教会に戻そうと いう勧誘を受けたときに、そのまま戻ってしまうんじゃないかという不安なのではないですか?。もし絶対に戻らないという固い決心がついていれば、怖くなくなる んじゃないかと思います。だから、今あせって脱会届を出さなくても、じっくり自分自身をもう一度見つめなおして決心してからでも、決して遅くはないと思います よ」 という、客観的で非常に参考になるものでした。



なるほど、考えてみればプロテスタントの牧師さんにもこのように言われました。
あなたがモルモン教会を抜けるのは、そこに救いがないと思ったときでしょう。だからはっきり救いはないと思わなければ、脱会をする必要も無いわけです



僕自身にとってモルモン教会がどのような存在であるのか。聖書との相違点の確認もそうですが、少なくとも自分が一度は真実と考えた信仰との決別には、僕が一人 の人格として自身を立する構えをもっと整えなければいけないようです。

 少なくともモルモン教会の管理本部は脱会に関する面接、面談は必要ないと言っています。このことを各地のモルモン指導者は遵守していただきたいと思います。モルモン教会のしつこい勧誘は、自らの評判を貶める以外の何ものでもありません。それによって多くの人が嫌な思いをし傷ついています。熱心な伝道としつこい勧誘とは違うのだということに気がついて、早急に是正すべき事柄です。

 

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